双極性障害
(躁うつ病)とは

双極性障害(躁うつ病)のイメージ

全く正反対な2つの心理状態(躁とうつ)が交互に繰り返されている状態を躁うつ病といいます。ちなみに躁とは、気分が著しく高揚している状態で、うつとは意欲が低下し、憂うつになっている状態をいいます。

躁状態を詳しく説明すると、上機嫌で饒舌、患者さんご自身の頭の中では次々にアイデアが浮かんでくるので、落ち着かない様子がみられるようになります。ただ気持ちはすこぶる高まっているのにも関わらず、爽快な気分でもありません。ちなみに病気の自覚が本人にはありませんので、自らの思考や行動が異常とは思っていません。また、躁うつ病でみられるうつ状態については、うつ病で現れる症状と同様です。なお、発症の原因はうつ病と同様、脳内で働くセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンといった脳内伝達物質が関係するといわれています。

前述にもあったように躁うつ病は躁とうつの二つの両極端の症状が繰り返されるわけですが、躁からうつ、うつから躁へと切り替わる間は、正常な状態になっていることが多いです。ただ、可能性としては少ないですが、正常な状態を挟むことなく両極端の症状に切り替わる場合もあります。この躁とうつを交互に繰り返す症状は、3~6ヵ月程度続き、また発症年齢が若年層であればあるほど、躁うつ状態の期間は短くなりますが、再発するリスクは高いといわれています。

なお躁うつ病は、双極性Ⅰ型障害と双極性Ⅱ型障害に分類されますが、その違いは躁状態の程度です。双極性Ⅰ型障害は周期的に躁とうつ症状を繰り返すのに比べ、双極性Ⅱ型障害は躁症状の期間が短くて軽く、これとうつ症状の繰り返しになります。前者(Ⅰ型)の場合は躁状態がはっきり出て、その期間は1週間以上続くようになるほか、社会的な障害を招くようになります。なおⅡ型の場合は躁状態が比較的軽く(躁状態の期間は4日ほど)、社会的な障害が見られることは、ほとんどありません。

治療について

うつ病と同じく薬物治療と精神療法が行われます。なお薬物療法で使用されるお薬は気分安定薬です。これは、気分が大きく上下に乱れた状態を安定させる効果が期待できることから、躁状態でもうつ状態でも有効です。なお、うつの状態が現れている場合でも抗うつ薬は使用しません。さらに精神療法では、認知行動療法なども併せて行っていきます。